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当直はやめるべき?

近年働き方改革は進んできているものの、当直業務は医師の負担となる業務の代表的な一つであり、いいイメージを持っている医師はそう多くはないのではないのでしょうか。

実際に医師転職ドットコムが利用者に行なった転職に関するアンケートでも、医師の転職時の希望として断トツで多いのが「当直を減らしたい」というものでした。(https://epilogi.dr-10.com/articles/1789/

今回は、転職において当直業務は本当にやめるべきかどうかについて考察していきます。

なぜ当直業務をしなければならないのか

当直業務に関しては医療法により以下のように定められているため、初期研修医時代を含めて病院に勤務しているとほぼ必ず当直業務がついてきます。

医療法第16条:医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。ただし、当該病院の医師が当該病院に隣接した場所に待機する場合その他当該病院の入院患者の病状が急変した場合においても当該病院の医師が速やかに診療を行う体制が確保されている場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

つまり、医師の希望を問わず、必ず誰かを宿直医師として配置しなければならないという決まりがあるのです。

医師の当直の実態は

医師転職ドットコムを運営する株式会社メディウェルが2017年に行った当直に関するアンケート調査では、

  • 医師は平均で月3.5回当直をしている
  • 産科・産婦人科と救命救急科で当直回数が多い
  • 眼科と腎臓内科で当直回数が少ない
  • 当直月7回以上は、産科・産婦人科25%、救命救急科35%
  • 当直時の睡眠時間は平均4.9時間(5~7時間の医師が約半数)
  • 当直前は95.4%が通常勤務
  • 当直後は82.5%が通常勤務
  • 32時間以上の連続勤務をしている医師が多い
  • 当直明けでのヒヤリ・ハットの経験がある医師は半数以上

参考:https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-doctors-duty/

このような結果が出ております。

この結果を見ると、当直業務があることによって労働時間が長く、睡眠時間を削られるという状況が週に約1回はあるということがわかります。

当直に関する要望・意見

同社のアンケートでは、さらに当直に関する問題点・要望が浮き彫りになっており、多い意見から順に、

  • 当直明けの休み・勤務の軽減
  • 夜勤扱い・交代制勤務にして欲しい
  • 当直代の値上げ
  • 当直環境の改善
  • 非常勤医師を活用して欲しい
  • 医師数の増加希望
  • 救急対応を無くす・救急対応医の別途設置
  • 年齢に伴う当直数制限設置
  • 病院の集約化
  • 当直の日程を早く決めて欲しい

参考:https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-doctors-duty/

となっています。

やはり医師にとって当直業務は、精神的にも肉体的にも負担となっていることがわかります。

当直業務はなぜ医師の負担になるのか

では、なぜここまでの負担になり転職の際に当直業務の免除や軽減が望まれるようになってしまうのでしょうか。

それには、以下に挙げるようないくつかの理由が考えられます。

睡眠時間が妨げられる

当直業務で必ずついてくるのが夜間のコール対応です。

いわゆる寝当直だったとしても、自宅とは異なる環境でいつ起こされるかわからない緊張感があると、熟睡して翌日すっきり起床…というわけにはいかないでしょう。

そして、医療機関ごとに業務内容は異なるものの、救急外来や救急車対応、病棟急変への対応、その他病棟からの報告など、様々な業務のために医師が起こされることになります。

このようなコール対応があった際はなおさら辛く、翌日の仕事のパフォーマンスも低下しかねません。

業務内容が負担となる

医療機関によって二次救急、三次救急といった指定があり、基本的には特定機能病院などの高度な医療を提供する病院の方が重症例を受け入れることになります。

ただ、中には二次救急なのに重症例が搬送されてきたり、ウォークインできたはずなのに急変してしまったりと常に気が抜けない状況であることは否めません。

また、「断らない救急」を掲げている医療機関は多く、医師の専門外の領域でも対応せざるを得ないケースがあります。

他にも「東京ルール」をはじめとした救急当番日であれば、搬送困難例をすべて対応しなければならず、必然的に対応数も多くなる傾向にあります。

当直回数が多い

前項の医師の当直に対するアンケートでは、医師は平均月3.5回の当直をこなしているとありましたが、これはあくまで平均値です。

アンケートでは当直業務がない医師も約1/4存在しているため、逆に平均より多くの当直をこなす医師もおり、中には月に10回以上の当直業務をこなしたり、数日にわたり連直したりしている医師もいます。

このように当直業務が負担となりやすいのは、産婦人科や救急科といった特定の科、専攻医等の若手、大学病院等薄給の勤務医、医療資源の少ない地域の勤務医などです。

当直代と勤務内容が不釣り合い

スポットや非常勤アルバイトの当直の給与相場は、いわゆる寝当直で3~4万円、へき地で+1万円程度となっています。

ほぼ眠れないほど忙しい当直では、5~7万程度、これに救急車受け入れ・入院1件ごとにインセンティブがつくこともあります。

しかし、常勤での当直ですとこれより安く設定されているところがほとんどで、1回の当直で1万円というところもあります。

十分な当直代が支払われるのなら忙しくてもモチベーションになりますが、忙しいのに給与が低いとなるとそれによるストレスも大きくなってきます。

当直業務の前後に通常業務がある

アンケートの結果から分かるように、当直前は95.4%、当直後は82.5%の医師が通常勤務をこなしています。

9~17時を定時とした場合、当直前後に通常勤務があると最低32時間連続して勤務していることになります。

前述の通りいつ起こされるかわからない状況で、さらに快適とは言えない当直室で寝ていても、疲れはあまり取れないでしょう。

そのため、翌日の勤務時にヒヤリ・ハットを経験した医師も半数以上おり、業務に支障が出てしまう可能性も高いと言えそうです。

当直業務をするメリット

このようにいい印象のあまりない当直業務ですが、逆に当直業務をすることによるメリットは何なのでしょうか。

救急外来での経験が積める

当直業務といえば、救急外来での診療を思い浮かべる医師も多いのではないでしょうか。

救急外来では患者のファーストタッチを行い、主訴の原因をある程度の疾患へ絞り込んでいったり、受傷直後の外傷に処置を行ったりします。

特に夜間では自分一人で対応することも多く、自分のスキルを活かせる場面も多々出てきますし、さらなる経験を積むこともできます。

またこうした業務が好きな医師も一定数いるため、そうした医師にとっては楽しく働ける業務の一つとなるでしょう。

家を離れることができる

配偶者と四六時中同じ空間にいるのは疲れる、子どもの面倒を見ていると自分の時間がない、といった悩みを持つ医師は男女問わずいます。

そうした場合、単純に外出するよりは当直という大義名分があった方が、配偶者からの目も気にする必要がなくなります。

こうした状況の寝当直であれば、ある程度の自分の時間を確保することができるので、いいリフレッシュになると考える医師もいます。

給与が得られる

医療機関によって差はあるもののある程度の給与は得られますし、これが寝当直であればいくらか心の余裕をもって業務に当たることができます。

家にいてボーっとするよりは当直をして少しでも稼ぎたい、と考える医師は少なくありません。

まとめ

現在働き方改革が進められているものの、急に現在の多忙な業務がキレイに改善されてとても働きやすくなる!ということはおそらくないでしょう。

前述のように、当直業務はかなり肉体的にも精神的にも負担の大きいものとなり、時には当直業務の負担が一つの原因で体調を崩してしまう事もあるかも知れません。

そうなると休職・退職せざるを得なくなってしまう可能性も出てきてしまい、復帰にかなりの期間を要することもあります。

もしあまりにも当直がキツい、あるいはメリットがあるにせよ辛いと感じたら、休職などに至る前に早めに当直業務を減らすようにしましょう。

そのためには所属する医療機関の管理職へ申し出る他、思い切って転職してしまうのも一つの手です。

転職を思い立った時に素早く行動に移せるよう、早いうちから医師転職サイトに登録しておきましょう。

医師転職サイトの登録画面では、どのサイトにもいつ頃の転職が希望かを選択する欄があり、今すぐの転職はしたくないという項目を選択することができます。

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