退職を考えたことがある医師は多い?
医師として働いていると、自分の思い通りの医療ができない場面に必ずぶち当たることでしょう。
このような時に「退職して他で働くか……」と一度でも考えたことがある医師は少なくないのではないでしょうか。
今回は「医師はどんな理由で転職をしようと思い立つのか?」ということについて、いくつかのパターンに分け、それぞれ分析してみました。
医師が退職を考える理由考察
医師としての待遇に不満がある
医師が転職をしたい理由としては、これが断トツで多いのではないでしょうか。
しかし世間的にはやりがいを重視している職業であるため、待遇の改善を求めて大きな声をあげると顰蹙を買うことになりかねません。
待遇の改善が望めないのであれば、より良い職場へ転職するのも一つの手ではないでしょうか。
給与が安い
医師の平均給与は、世間から見れば高額であることは間違いありません。
しかし、勤務時間やその内容、責任の重大さから鑑みると、それらと給与が見合っていない医療機関も多々存在します。
特にオンコールや当直などが入ると拘束時間も多くなりますよね。
医師転職サイトには様々な求人情報があるので、同じような業務内容で給与の高いところを探すと、よりよい待遇の医療機関が見つかるかも知れません。
自分や家族との時間が取れない
勤務医には当直や時間外労働、オンコールなどがつきものです。
近年医師の働き方改革が進んできましたが、それでも時間外労働の上限は原則年960時間とされています。
また、「地域医療確保暫定特例水準」と「集中的技能向上水準」に至っては年1860時間まで残業可能と提言されています。
いわゆる「過労死ライン(時間外勤務80時間以上/月×2〜6ヶ月)」をはるかに超える上限となっているのが現状です。
また、自分の外来枠や手術枠があったりすると、思うように有休を取得することもできないことが多いでしょう。
いくら医師とは言え人間なので、心身の健康のためにも余暇を過ごすことは非常に重要です。
医師の心身の健康は、医療を提供するという意味でも非常に重要であることは言うまでもありません。
休みたいときにしっかりと休み、その分職場でしっかりと働くというメリハリのある生活ができると理想的です。
労働環境に不満がある
医師という職業はかなり特殊なもので、それを取り巻く労働環境も世間のものとは異なります。
しかし、ある程度のことは転職によって労働環境の改善が可能であると言えます。
医局を抜け出したい
医局はしっかりと所属医師を守ってくれる組織であり、雇用についての安定性も高いところであると言えます。
しかしその反面、閉鎖された空間であり、厳しい縦社会となっていることもまた事実です。
医局に属していると上司の存在が大きく、人事の希望も年功序列なため、若手のうちはなかなか希望通りの転勤は難しいでしょう。
また、それゆえ自分の思い通りの診療はできませんし、忙しい中でさらに学会発表や論文の執筆などもこなしていかなければなりません。
かといってこれらを断るわけにもいかず、強く拒否すれば医局内で不当な扱いを受け、弱い立場になってしまう可能性もあります。
マンパワーが足りず医師一人当たりの負担が大きい
もしほかの医師が退職してしまったり、産休や育休、病気や怪我などで休職せざるを得なくなってしまったりした場合、当然残った医師への負担は急増します。
そこで欠員が補充されればいいのですが、同じ科の医師が多数所属していないとなかなかそうはいきません。
ここで「自分が辞めたら残りの医師がもっとつらくなってしまう」という考えももっともなのですが、過労により健康を害してしまったら元も子もありません。
自分の身を最優先に転職・転職を考える医師も少ないでしょう。
病院の方針と自分の考えが大きく異なる
医療機関にも経営方針というものが存在し、医師一人ひとり疾病やその治療に対する考え方が違うことがあります。
若手医師の場合はとにかく言われたとおりに懸命に動くことが多いですが、ある程度の学年になってくると自分の考えに沿った診療をしたくなることも多いでしょう。
その時、もしも自分の治療方針と周囲(主に上司)の方針が違ってしまった場合、どちらかが折れなければなりません。
自分の方針をまげて周囲の方針に従うのは大きなストレスとなりますし、かといって自分の意見を貫き通すのも、後に人間関係のトラブルとなる可能性があります。
ここに関してもある程度は転職で改善することはできますが、すべて自分の意のままに行動できる医療機関というのはほぼありません。
どうしても譲れないポイント以外は、お互いに妥協点を見つけていくことも必要です。
今のままでは資格維持・更新ができない、経験不足になる
医療機関によっては医師が経験できる症例に偏りがあったり、医師一人当たりの手術や手技の経験数が少なくなったりしてしまう可能性があります。
そうすると、専門医をはじめとした資格を取得したり維持したりすることが難しくなってくるので、必然的に転職をせざるを得なくなる場合があります。
もしくは、経験を積んで自分の医師としてのスキルアップに役立てたいが、勤務先がその適応となる症例がほとんど来ないような医療機関だった場合にも転職が必要となります。
職場での人間関係が悪い
治療方針や態度などが原因で、医師同士に限らず看護師や技師等、スタッフ間での揉め事が起こることも当然あります。
ここで穏便に解決し、元通りの関係になればよいのですが、なかなかうまくいかないこともあります。
また、自分が当事者ではなかったとしても板挟みになってしまうことで精神的なダメージとなることもあり得ます。
そうなった場合、仕事の質が低下し、最悪の場合患者に不利益が生じる恐れまで出てきます。
転科したい
初期臨床研修医を修了すると、たいていの医師は各専門科の医師として研鑽を積むことになると思います。
そのためには研修医の間にどの科を選択するかを決めなければならないわけですが、当然ですが研修医時代に見ていた景色と専門科に属してからの景色は異なっています。
入局してからやはり自分のスタイルに合わないと気づいた場合や、より自分に合う科を見つけた場合、現職を退職し、転科をしたくなることもあるでしょう。
このような場合にはもちろん転科も可能ですし、所属していた科の医師からの視線が気になる際は、同時に転職もして医療機関自体を変えることも可能です。
ただし、転科するということは今までに培った知識や技術が無駄になってしまう可能性もあるので、よく考えてから転科するようにしましょう。
自分や家族との生活環境が変わる
家庭の環境に合わせて退職や転職をすると言う医師も少なくありません。また、いっそ非常勤のみに切り替えたりするような医師も少なくないでしょう。
結婚や出産を控えている
結婚後に配偶者の転勤があり、それとともに自身も転職する場合や、出産に伴い実家の近くへ引っ越して両親にサポートを求めるために転職するという場合も少なくありません。
注意点として、結婚や出産とともに転職を希望する場合、必ず転職先の面接などでその旨を伝えるようにしましょう。
バリバリ働いてもらうつもりで採用したのに、子どもの都合で遅刻・早退・欠勤が多いなど、後でトラブルになる可能性があります。
育児のため
育児というのは想像以上に大変で、これに仕事も両立しなければならないとなると、かなり体力的にハードでしょう。
特に子どもが小さいうちには、両親ともにフルタイムで働き、当直もしっかりこなすというのはなかなか厳しいかもしれません。
家族を養うために必死に働いた結果、ほとんど子どもに会えず顔を忘れられた、久しぶりに会った時に泣かれたという悲しい話もちらほら耳にします。
また、片親に育児を任せきりにするのも配偶者にとって大きな負担となることが考えられます。
夫婦で助け合っていけるよう、医師としての仕事をセーブすることも時には必要となるかもしれません。
他にも、子どもが私立の学校に通う、住んでいる地域の治安が悪い・子育て支援策が充実していないなどの理由で引っ越しが必要で、これに伴い転職を決意するケースもあるようです。
親族の介護のため
両親や兄弟などが急病で倒れてしまい、ある日突然介護が必要となる可能性も十分にあります。
介護も人手と時間を要しますし、例えヘルパーなどのサービスを利用するとしても、要介護認定が下りるまでは時間がかかります。
また、お願いしたとしても当直中などの夜間どうするのか?という問題も出てきます。
介護する側も病気になることはもちろんありますし、共倒れすることなくしっかりと面倒を見るためには、ある程度勤務時間の調整が必要になるでしょう。
病気などで勤務が難しい
病気になるのは両親や周りの人だけではありません。
医師である自分自身が体調を崩してしまう可能性も十分にあり得ます。
すると、当直がノルマの病院に勤務しているがこれ以上はできない、勤務時間が長すぎてゆっくり自宅で静養できないなど、今まで通りの勤務継続が難しくなることも考えられます。
そのような場合は、自分のできる範囲の業務をしっかり考えて転職活動を開始しましょう。
転職の際には、面接の際に必ず「現時点の病状とどれくらいなら働けるか」を伝えるようにしましょう。
結婚や出産の項目と同じく、採用後に「面接の時に聞いていた話と違う!」となると解雇されてしまう危険性を孕んでいます。
その他
知人からの紹介で転職したい、仲のいい友人医師と同じ職場で働きたいなどといった理由で転職を希望する医師もいます。
この場合、現状より待遇が改善されていることも多いので、一つのいいきっかけにはなるでしょう。
但し、知り合いのツテ経由であるが故のトラブルも散見されますので、メリット・デメリット等もしっかりと考えた上で決断しましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。医師転職プラスでは、現役の医師がおすすめする医師転職サイトのご紹介や、転職に関するノウハウや最新の転職情報を発信をしています。