医局を辞める!と決めたら、あとはどう円満に退局するか……なのですが、中には揉めてしまうケースも少なくありません。
しかしそれでは今後の仕事に響く可能性も否定できず、狭い医療業界の中では自分に不利になってしまうこともあります。
ではスムーズで円満な退局をするためには、医師個人としてどのように行動するべきなのでしょうか?
退局するにあたりもっとも重要なこと
医局をやめるという決断をした背景には、様々な理由があることでしょう。
その中には医局への不満や同僚からのハラスメント等、関係性を維持するにあたりあまりよくない理由もあるかも知れません。
しかし、医師としての技術や知識を授けてもらい、成長した現在の自分があるのはあくまで医局のおかげであることは忘れてはなりません。
もう辞めてしまうからといって傍若無人なふるまいをすることは到底推奨されません。
今までお世話になった事は事実なので、それに関して感謝の気持ちを持って行動することが重要でしょう。
円満な退局にするため必要なポイント
退局の意思は早めに表示
退局したい、と医局長や教授に言い出すのはなかなか勇気のいる行動です。
しかし、医局を去る決意したら、その意思表示をしないと何も始まりません。
医局人事の事を考えると、最低でも半年、できれば1年前に退局の意向を示しましょう。
いつまでも言い出せずにいると次の医局人事が発表されてしまい、その都合でまた退局が伸びてしまう事になります。
また中には「退局は1年半以上前に申告しないと認めない」などという医局も存在します。
一方で、民法上は契約期間の定めのない契約ではいつでも解約を申し出ることができ「雇用は、解約申し入れの後2週間を経過したるに因りて終了する(民法627条第1項)」ともあります。
しかし、このように退局までの期間が極端に短い場合、医局人事の再構成に時間がかかったり、外来や病棟の引き継ぎもままならず、引き留めなどのトラブルに発展するケースが少なくありません。
また、医局内だけでなく関連病院、そちらで担当していた患者にも影響が及びかねません。
医師という職業の特性上、このような無責任な行動は到底推奨されるものではありませんので、円満に退職するためには余裕をもって申告する事が必要です。
絶対に退局をする!という意思表示ははっきりと
そもそも医局としては一人でも多くの医局員を確保しておきたいというのが本音であり、人間性や医師としての能力によほどの問題がない限りは手放したくないはずです。
そのため医師の退局に関しては、基本的に医局側のメリットはあまりないため、面談の日程が決まらなかったり、医局長から教授へ話が伝わっていなかったりとだらだら進みがちです。
また、面談でも少しでも退局する時期を先延ばしにしてもらいたいので、医局に残る提案ばかりされることがよくあります。
そのため、退局に関しては医師が積極的に自ら動き交渉していく必要があります。
そしていざ面談にこぎつけたとしても、はっきりと退局の意思表示をしなければうやむやになってしまう可能性がありますので、特に譲れないポイントは強く主張するようにしましょう。
退局の時期やタイミングについても考える
医局人事で希望の病院に出向させてもらった、留学させてもらったなど、自分のやりたいことをすべて叶えたので退局しますと言われたら、他の医局員はどう感じるでしょうか。
もし自分が逆の立場だったとしたら、あまりいい気持ちで送り出す気にはなれませんよね。
すなわち医局という組織に所属するということには、少なからず個人の感情も関与してくることになります。
そのため、仮にあなたが医局に対し負の感情を抱いているとしても、ある程度は医局への「恩返し」をしておくことが円満対局への一歩となるのではないでしょうか。
医局のルールとして、退局前の半年間は大学病院での勤務が必要、退局後も週一非常勤で大街区外来を続けろなど、退局に関して条件をつけているところもあります。
もちろん親が開業医だが急逝してしまい、すぐに跡を継がなければならなくなったなど例外はあります。
しかし、そうでない場合が大半ですので、立つ鳥跡を濁さずということわざのとおり、ルールやマナーを守り円満に退局できるよう努力するようにしましょう。
今までに自分の医局を去った医師から情報収集する
すでに退局をした医師の体験談は、これから対局を考える医師にとってかなり役に立ちます。
特に独自のルールを敷いているような医局も存在しますので、できれば自分が所属していた医局を去った医師に話を聞けるのがベストです。
自分の医局が退局に対して寛容なのか厳しいのか、どのような理由でスムーズな退局をしたのかなど、様々な情報を集めておきましょう。
次の転職先の候補を見つけておく
医局をやめた後も、ほぼ全員の医師が何らかの形で働き続ける事かと思います。
その際の選択肢としては、開業医のように雇用する側に回るか、あるいは今まで通りに転職先を見つけるかが多いでしょう。
開業する場合はまた別なのですが、転職先を探すうえで一つ問題になるのが転職活動をいつから始めるか?ということです。
仮に退局を宣言する前に就職先を見つけておくことができれば、無職となる期間をなくして転職ができます。
しかし、もしその状況で医局から強い引き留めに合うなどして退職が上手くいかなかった場合、次の転職先へ迷惑が掛かってしまいます。
また、そもそも転職希望時期である半年〜1年後の求人を今から出すような医療機関は限られていますし、宣言する前から転職先を見つけている医師はごく少数と言えます。
ただ、退職が決まってから転職活動を開始したのではタイミングが遅い場合もありますので、それよりは少し早い段階から開始しておくことをお勧めします。
具体的には退局を考え始めた時点で医師転職サイトに登録し、担当のエージェントに色々な相談をしてみるといいでしょう。
1年のなかでいつから探し始めるのがベストなのか、具体的な条件を提示してどのような転職先の候補があるのか等、様々なサポートをしてくれます。
医師転職サイトのエージェントに相談する
医師転職サイトのエージェントは、退局するべきかどうか悩んでいる状態だったとしても相談に乗ってくれます。
今の医局のいいところや不満に思うところ、転職する事へのメリットデメリット等、自分の考えを整理するのに手を貸してくれるはずです。
また、転職すると決めた後、転職先を探す事だけでなく退局に関してのアドバイスもしてもらえます。
例えば医局との面談ではどのような点に注意すれば角が立たないのか、今まで退局してきた医師がその意思表示をした際に失敗したこととその対策等、関わる医師が多い分その知識も豊富です。
不安に思ったことはまず医師転職サイトのエージェントに相談してみましょう。
彼らは日々退局や転職をしている医師のサポートをしているため、経験豊富であることが多く、的確なアドバイスをしてくれることでしょう。
医局を完全に去るのか、籍だけ残すのか再検討
退局と言っても、完全に除籍とするのではなく同門会に籍だけは残す方法もあります。
これは医局によってルールが異なるので一概には言えないのですが、この方法が可能な医局であれば、退局の交渉をよりスムーズに行える可能性が出てきます。
つまり退局後も医局のメリットになるような関係になれそうであると医局に認識されれば、円満に退局できるというものです。
開業後に患者を紹介する、退局後も外来バイトをしてくれるなどがこれにあたります。
これに関しても、所属する医局をすでに退局した医師から話を聞き情報を得られればより良いでしょう。
退局する際のトラブル
ここまで、退局に関してどのように行動すれば円満に辞めることができるかを記載してきました。
しかし、実際には以下のようにすんなりと退局できないケースもあります。
- 医局のルールどおりに退局を希望したのに、数年間は退局を認めないと言われた
- この地域で就職できないようにすると脅された
- 退局後も無給で手伝いに来るなら辞めてもいいと条件が付けられた
- 出向や留学など、人事を希望通りにするから退局しないでほしいと言われた
- なんでそんな遠方に住む人と結婚するのだなどとプライベートを否定された
このほかにも、インターネット上には医局をやめる際のトラブルが散見されます。
このような事態を避けるために様々な対策を講じるわけですが、それでも確実に円満な退局ができるわけではないということは念頭に置くべきです。
だからこそ、退局以外の選択肢は本当にないのかを再度検討する必要があります。
まとめ
以上、医局を円満に辞めるためのコツについて記載しました。
ある程度考えながら行動することで、退局に関するトラブルに陥るリスクは最小限にできるはずです。
法律なども最大限利用し、一刻も早くこの医局を離れたい!というとき以外は、できるだけうまく立ち回って円満な退局を目指しましょうね!
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